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2章
 ̄ ̄
「蓮、そろそろ限界かも。」
明け方、僕は歩くペースをずいぶん遅めて言った。
一晩中寝ずに歩いたのだから当然だ。
さらに重い荷物が、僕の疲労に拍車をかけている。
「そうだね。私もヘトヘト。」
蓮もまた疲れ切った様子で言った。
「かなり進むことができたし……
あそこで一休みしよっか。」
そう言って蓮が指差したのは、小さな川にかかる橋だった。
橋の下はよくホームレスの住処となっている聞くが、蓮が指差した橋はとても小さいもので、そういった人たちの姿はないようだ。
「2人なら余裕を持って隠れられそうだね。」
そう言って、僕たちは橋の下へ向かい始めた。
……あれ?
その時急に、僕は自分が妙に冷や汗をかいていることに気付いた。
鼓動が少し早くなっている。
「おかしいな。」
橋へ近付くにつれ、それはひどくなっていく。
「亘、どうしたの?顔色が悪いみたいだよ。」
蓮が心配そうに僕の顔を覗きこんだ。
「いや、大丈夫。」
僕は蓮に心配をかけるようなことではないと思い、そう言った。
おそらく疲労のためだろう。
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