成金の精進!!

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「昨日の朝の事なんだが……起こしに来てくれたのに突き飛ばしてしまって悪かった。痛む箇所は無いか?」 「はい!特に怪我は……って、えええッ!!?」 「っ……!?」 俺が労いのような言葉をかけると、マリーはとても驚き大声で叫んだ。思わず俺は仰け反ってしまう。 ……いったいどうしたと言うんだ。 「エ、エル様が……私の心配を……!」 改めて自分がどのような人間であったのかを痛感した。言葉通り、俺の心に激痛が走った。 「あ、ああ……いや、怪我が無かったのならよかった。」 「は、はい!しかし……お世話をしないというのは……」 「……」 これは……本当に心配してくれているようだ。マリーはメイド精神が強いのだろう。 「マリー、父上の言うことは守らなければならない。これからは全部自分でやる。頼む、手を出さないでくれ。」 「はい…。わかりました…」 他人の思いやりを無下にしてしまうことは予想以上に罪悪感を沸々とさせるものだ。 マリーは俺の拒絶に驚いたのか唖然としている。放心状態だ。 余程以前とのギャップが強いのだろう。逆の立場だったら俺も固まっていたに違いない。 悪いが、先へ進ませてもらおう。
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