成金の精進!!

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「出来たぞ。」 「これは………」 見てくださいこの涎を誘わせる鮮やかな色と焦げ目!朝の眠気を吹き飛ばすでしょう! 脳内で自画自賛しつつ皿に盛り付けていると、シェフが横目で何度も俺を見ているのに気付いた。 気になって仕方が無いのだろう。 「たくさんあるんだ。一つ貰ってくれ。」 「よ、よろしいのですか!?感謝致します!」 んな大袈裟な。思わず笑ってしまいそうになる。 料理人として見たこと無い料理は興味深いのだろうか。いや、エル・ソルトという存在に料理を貰ったからそうなってしまったのかもしれない。 「これは美味ですな!フレンチトースト……でしたかな?どこで調べたのですか?」 「ぐ、偶然にも部屋にレシピ本があったんだ。」 「そういえば、何故だか慣れた手つきのように見えましたが……もしや、料理に興味が有ったり……?」 いや、それは無いだろう……あそこまで人任せだった俺が料理に関心なんかあるわけがない。 「あ、ああ、そうだ。」 「そうですか!それは私としても嬉しいですな!」 シェフはいつも厨房にいるから以前の俺をあまり知らないのだろう、あまり戸惑う事なく俺と話してくれる。この人から畏れられる心配はもうしなくて良いのだろうか。
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