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「おいおいおいおい!今日はいったいどうなってんだよ!」
青年はベビーカーを止める姿勢になりつつ、自己の不運を叫ぶ。だが、事態はそれだけで収まるものではなかった。
「なッ!?」
ベビーカーの中から赤ん坊が飛び出してしまったのだ。
「くっそぉッ……!!」
青年はそちらを最優先し、思い切り手を伸ばす。
「よしっ!つかまえた!!」
奇跡的に赤ん坊は青年の腕の中に収まった。青年は体勢を崩すも、何とか階段の途中で赤ん坊を抱えながら横になった。
だが、青年の本当の不幸はここからだったのだ。
「ッ!!?」
ゴッ、という鈍い音とともに、青年の頭に衝撃が走った。
転がり落ちたベビーカーがとどめと言わんばかりの勢いで青年の頭に直撃したのだ。
「……ぁ………」
意識が一気に遠くなる。見える限りの景色全体がぼやけ始めた。
打ち所が悪かったのだろう。終いには、視界一杯が真っ赤に染まっていた。
そして、青年はわずか18歳の若さでこの世を去ることになった。
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