Another ideology2

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ーーーーーーーーーー 「お茶でもどうだ…?」 「勘弁しろよおっさん。何で俺が来たのか分かんだろ。」 ある屋敷の一室。赤い絨毯の広がる高級感溢れる空間にその二人は居た。 西洋風である薄橙色のテーブルを挟み、赤髪の青年と黒髪の落ち着いた雰囲気の男が向かい合っていた。 「おっさん……お前にそう呼ばれるのも久しぶりだな……。」 「っ……いい加減にしろ!!」 赤髪の青年は激昂し、テーブルを手の平で打ち立てながら立ち上がる。 対し、黒髪の男は何の素振りも見せず落ち着いた雰囲気を維持している。 男の名はルキ・ネスト。五大貴族賜る闇の貴族の現当主。 「あんた父親だろ!何で怯えて震える娘を励まさない!?どうして部屋から出そうとしねぇんだ!?」 「落ち着け……バン・フレイ。寝てる娘もいる……。起こさないようにしてくれ。」 「っ…!!…ーー」 バンの質問に対し、ルキはまともに答えようとしない。 バンはそんなルキの様子に我慢の限界を迎えようとしていた。 「今そういう問題じゃ…ーー」 「あーー!?バン兄ぃだぁ!!」 「! リラ!」 「起きてしまったようだな……」 バンが耐え切れずルキの胸ぐらを掴みに行こうとした時、部屋の外から五歳くらいの黒髪ツインテールの女の子が入って来た。 「バン兄ぃーーー!!!」 「うわっ!?おいリラ!抱き付くな!」 リラ・ネスト。メアの妹だ。 リラはバンを見ると表情を輝かせ、直ぐにバンに飛び付いた。 「リラぁ……どこぉ………? ……あれ、バン兄ぃ…?」 「あ……リル。」 「バン兄ぃだ……!」 「おいおい……!」 続いて部屋に入って来たのは同じくメアの妹であり、リラの双子の妹のリルである。 リルもバンを見つけると、黒髪のポニーテールを揺らしながらトテトテと覚束ない足取りでバンの元へ駆け寄り、抱き付いた。
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