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「言わんことではない……だから大きな声を出すなと………」
「くっ…!」
「バン兄ぃ久しぶりーー!!」
「久しぶりぃー…!」
ルキは呆れたようにため息を吐く。バンは悔しそうな顔をしている。
「…ハァ……。大きくなったな、ガキども。」
「えへへ……」
「…♪」
戦意喪失と言ったところか、無邪気な二人の子どもを前に、バンの怒りは収まってしまった。
リラとリルはバンに頭を撫でられ、バンの両足に抱き着きながら気持ち良さそうに顔を綻ばせている。
「メアは……あのままで良いのかもしれない。」
「! なんだと…?」
バンはルキの言葉に対し、なるべく怒鳴らないように言葉を返す。
「あの娘はか弱い。昔から強気な態度を見せてきたが、それは弱さを見せないようにする故。
私はあの子を安心させるため、魔族とやらと戦わせないようにしようと考えている。」
「な…!?この世に魔法が有る限り戦わないことなんて有るわけねぇだろ!
軟禁でもする気か!」
ルキは隙あらばとバンに本音を洩らす。そして、バンはリラとリルのことを忘れて声を荒げてしまう。
「バン兄ぃ…なんで怒ってるのぉ……?」
「こわい……」
「ぁ…わ、悪りぃ……」
バンは思うようにルキに反論出来ない。作為じみたルキの態度に、バンは睨むことしか出来なかった。
「兄ぃあそぼうよーー!!」
「あそぼ…!」
「あ、あのなぁ……」
子どもは欲求に忠実だ。久しぶりのバンとの再会が余程嬉しいのだろう。甘えたくてしょうがないのだ。
普段は乱暴なバンもこの二人には顔負けである。
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