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「……だから、何だと言うのです?」
「戦うことを止めさせるつもりはない。だが、次からは俺も手伝わせてもらう。だからあんな練習はもう止めろ。」
「は?」
アルにとってエルの言葉は予想外だった。自分に限らずソルト家に害をなす人間は直ぐに権力で黙らせると思っていたからだ。
「待ってください!いきなり出てきて何ですか!」
「負担が減れば魔力を増やす必要も無くなる。もう無茶なんてしなくていいんだ。」
「そういうことを言ってるんじゃ…!」
アルはエルの言葉に納得できなかった。
今まで一人で積み重ねてきた苦労。どこかで終わりが来ると信じて闘い続けた。
それが横取りされるように感じたのだ。
「アンタは口出ししないでくれ!これは『僕だけ』の問題なんだ!」
「違う!さっきも言っただろう!これはお前だけの問題じゃないんだよ!」
アルが言葉を荒げればエルも同じように言葉を吐く。お互いに譲れないという感情がぶつかり合っているのだ。
「何を根拠にそんな戯言を…!」
「お前だけが狙われるのは俺の責任でもある!お前は上級生に襲われた!何階生かはわからないが、少なくとも次は必ず三階生も介入してくる!
お前はそれを一人で対処できるのか!?」
「それはっ………やってみせる!そのために僕は強くなっているんだ!」
「無理だ!例え魔法に優れたお前でも、これは身一つで出来る範疇を超えている!連中を付け上がらせるだけだ!」
「くっ……」
アルの言葉は直ぐにエルの言論によって覆される。思うようにいかないためにアルは負の感情が募るばかりだった。
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