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とある教室。そこには十数人もの男子生徒がいた。
「チッ…!」
「オイ!こっちに蹴んじゃねぇよ!」
ある一人は隅のゴミ箱を蹴り倒し、怒りを露わにしている。どうやらこの一室は物々しい雰囲気のようだ。
「もう少しであの野郎を下僕に出来たのによォ…!」
「まったくだ…!」
悔しがるこの二人は以前、アルを襲って逆に逃げる羽目になった二人だ。日頃から共に行動しているのだろう。
「へっ、でも大丈夫だ。今度は下手こいたりしねぇよ。こんだけ集めたんだ。」
「まぁな。」
この二人はあの日以来、ソルト家を気に入らない貴族を集めた。その中には三階生の生徒も含まれている。乱暴を嫌うせいか、女子生徒は一人も集まらなかった。
「あの坊主ボコボコにしてよぉ、舎弟にしたらどうするよ?」
「そんなの金に決まってんだろ。五大貴族なんだから次男でもとんでもねぇ額持ってんだろ。」
「いいねぇ…俺は情報でも吐かせるか。」
「情報?」
男子生徒の片割れは訝しげな表情を浮かべる男子を見て下卑た笑みをつくった。
「どんな貴族でも後ろめたいことの一つや二つあんだろ。聞き出して、ソルト家を元いた場所に叩き落としてやるよ。」
「そりゃスッキリすんなぁ……へへへ。」
平民の成り上がりの家が気に入らない。
そんな不満から始まった鬱憤から始まった憂さ晴らしは大事にまで発展しようとしていた。
「そういや、生意気な女も居たな。そいつもやんのか?」
「予定にはねぇなー…」
二人は深緑の髪でメガネを掛けていた少女を思い出した。彼女の登場はその場を錯乱させ、自分達に大きな隙を与えられた。
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