成金の精進!!

12/20
前へ
/453ページ
次へ
「『サンダーボール』」 慌てて放った雷球により、土人形はコンクリートが砕けるような音と共に吹っ飛んだ。 “土”人形ではあるが魔力自体の威力が及んだようだ。雷属性の魔法は余程強力じゃないと通す事が出来ないからな。 いや、それどころじゃないな。つい驚いて隠すような真似をしてしまった。 「………何だ?」 「こんなところで一人……共に高められる相手が居ないからって地面に攻撃魔法を放つなんて……本当に可哀想な人ですね。」 「放っとけ。」 我が弟、アル・ソルト。俺程ではないが少し性格的に難が有る。ただこいつは魔法の才能が優れている上に頭が良い。だから愚行を行ったりするような真似は絶対にしないだろう。 つまり正の道を外れた存在を嫌っているわけで……清々しい程に俺を蔑んだ目で見ているというわけだ。 「あ、遊んでいたわけじゃない、誕生日という日を境に生まれ変わろうと思ってだな……まあ、ここに鍛練しに来ただけだ。」 「だから髪を切って一人称も変えてみたわけですか。愚かですね、今さら周りがあなたに対する目を変えるとでも?」 それは一理どころか百理もある。俺は今まで何度も愚行を繰り返してきた。今は学園の長期休暇中だが、学園では俺は影口を囁かれるような嫌われ者なのだろう。 一人称に関しては完全に意識し忘れていた。いや、この際変えてしまった方が今後が楽になるか……?
/453ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30840人が本棚に入れています
本棚に追加