Another ideology3

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ーーーーーーーーー 『おい、来たぞ……!』 「……」 エルがBクラスの女子に疑いの目を向けられているその頃、アルも一階生のSクラスに着いていた。 アルが上級生数人と戦ったことは一階生の間でも広がっていた。 平民や下流貴族、良心に富んだわずかの中流貴族や上流貴族はアルの身を案じ、ソルト家を嫌う貴族は容赦無く陰口をたたいている。 アルはそんな貴族たちに対して我関せずの素振りを見せ、自分の机の元へ向かった。 「…なっ……!?」 しかし、アルが席に着くことは叶わなかった。 何故なら、アルの机があるはずの場所には紙くずしか転がって無かったからだ。 (くだらない事を…。だけど……) 犯人なんて大体は予想出来る。 しかしアルはこの悪意ある行為を不審に思った。五大貴族に手を出すにしては露骨過ぎるのだ。 (これが策略なら……) アルは床に転がっている、クシャクシャに丸まった紙くずに目を移す。 そしておもむろにそれを拾い上げ、破かないよう丁寧に開いた。 (『昼休みに旧港の第二貨物倉庫に来い』?ベタだな………) そこには汚い字面のメッセージが書かれていた。宛先と差出し人が書かれていないが、誰からか、誰宛かなんて考える必要は全くもって無いだろう。 (面倒くさ……行くわけないだろう。) 逃げたと思われるのは癪に思うが、わざわざ王都の北東まで行って待ち惚けをくらう差出し人を想像するとそんな気持ちは消え失せた。 (それにしても……) アルは一番左側の机の列を見る。その最後尾には何故か入学当初から置かれている未使用の机。 (彼らは馬鹿なんじゃ……?) 自分の机を隠すくらいなら未使用の机も隠せよと思いながらもその机を自分の位置に持ってくる。 教室の窓越しの廊下で、どこか見覚えのある一階生の男子生徒五人が驚いた表情を浮かべている。 教室内の女子生徒がざまあみろと言わんばかりの顔をその五人に向けている。 五人はゆっくりと見えないところへフェードアウトしていった。
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