王立スローラル学園

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────ソルト家、修練場。 「ハァッ……!せいッ!!」 俺、エル・ソルトが前世の記憶を取り戻してはや二日。 修練場にて、木剣を振り回す。幼い頃に教育の一環として教わっていた内容を思い出しながら素振りを繰り返す。 日の出よりも朝早い時間帯だ。かなりの早朝である。 俺は神に様々な能力をもらったが、特別な才能等の力は有していない。単純に思い付きもしなかったからだ。 あの時は今後の人生を楽に過ごそうと思っていた。だが、このあまりにも貧弱な身体と世間の悪い評判は不名誉極まりないのだ。だから日常的に鍛錬の時間を設ける事にした。 何事も習慣と出来なければ成長しないのだ。 昨夜、部屋の本棚から雷属性の魔法に関する参考書を取り出して読んでみた。そうして多くの魔法の知識を普通に勉強する要領で頭に叩き込んだ。 一般的に学園で習うような魔法は、魔法を創始した先人達の残したものだ。別にそうでなくても、魔力を応用すれば、自分だけの魔法が創れる事もあるという。 しかし、それには一定の創造力と魔力を扱う力が欠かせないらしい。要するに器用さが求められるわけだ。 俺はこのことを踏まえ、いくつか自作の魔法のアイデアを搾ってみた。以前の俺は上手く使える魔法が少な過ぎる。だとすれば、自分に合った魔法を編み出すしかないだろう。 それだけじゃない、この世界で過ごしていた俺にはあまりにも実践経験が足りないのだ。これからの実技授業は真剣に取り組む必要があるな。
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