王立スローラル学園

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「────……ハァッ、ハァッ……!」 ほんの少しの運動でこんなにも疲れてしまった。口の中に痰が溜まり始めている。急に身体を動かし過ぎただのろうか。 しかし、今日は俺にとって人生が変わるかもしれない大切な日だ。自身に喝を入れる意味では丁度良かったかもしれない。 ……そろそろシャワー浴びて朝食の準備をするか。 厨房。朝食を作りにやって来た俺を迎えたのはお馴染みの白ひげをこさえたシェフだった。 ………いやいや、 「早いな……」 「仕込みがありますもので!エル様の方もお早いですな。感心いたしますぞ。」 「……ん、そう言ってくれるとありがたい。」 すでに厨房にはシェフ一同が揃っていた。食堂に入ったところでは人の気配を感じなかったので、厨房に入った時は思わず後退りしてしまったものだ。 ほう……何故だか俺も料理人になった気分だ。でも大貴族よりグレードが低いから大して嬉しくは無いな。 まあ、今は気にする事ではないだろう。さっさと準備に取りかかるとしよう。 「いただきます。」 食堂は静かなものだ。そろそろエル・ソルトとしての一人の食事も慣れて来た頃だ。実を言うと昨日は少し寂しいものがあった。 今日は早めに学園に行く予定なのだ。馬車を出してはくれないだろうし、恐らく登校は徒歩となる。通常よりもっと早く屋敷を出る必要がある。 一人黙々と食を進めて皿の上を空にすると、両手を合わせる。 「ごちそうさま。」 自分の行動が嫌に無駄の無い動きをしている気がする。人と接していないとこうも時間がかからないものなのか。
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