王立スローラル学園

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この学園長の名はアリアス・リーク。月白(げっぱく)の薄い色をした長い髪がミステリアスな雰囲気を作り上げている。若々しい声色で部屋に迎えてくれたが、確かこれでも今年で三十──── 「噂はよく聞いているわよ。」 「………………それはどのような?」 俺の思考を遮るように話題を振ってきたアリアス学園長に恐る恐る言葉を返した。しかし余計な聞き返し方をしてしまったかもしれない。 「まあ良い噂じゃないわよ。随分とやんちゃな学園生活を送っているらしいわね。二日前の国際交流試合でも貴方、やらかしちゃったらしいじゃない。」 「うっ………」 痛いところを突かれた。というより何故知っているのですか。学園長だからですか。そうですか。 言外の威圧が項垂れる俺の頭の先に降りかかっているのがわかる。これは怖い、流石に怒っていらっしゃる。 まあ、だからこそ話さなければならない。 「本日は、その事も含め考慮した末に此処へと参った。」 「へぇ、それはどんな?」 本当はわかっているのではないだろうか? 学園長はまるで俺の心中を見透かしているような、そんな余裕な表情をしている。まあ聞いてやろうと思っているのが顔から伝わって来た。 「俺の………クラス編成について、の事で………」 「へえ………その事ね。」 全く声を出せていない。頑張れ俺、因果応報自業自得、八文字熟語。身から出た錆だ。此処でこの空気に耐えられなければ何も変われない気がする。 学園長は俺の用件を聞いて目を細めた。思い当たる節がある様な表情だ。まさか、俺の実技試験の根回しの件を知っているのだろうか。 「実は、その………」 「やっぱりあなたの実力じゃSクラスに付いていけなかったかしら?」 「あ、恐らく………え。」 さらっと真を突かれて間抜けな声を上げてしまった。マジか、やっぱり学園長には見抜かれていたのか。 「? どうかした?」 「あ、いや………」 納得した。何故学園長は俺の所業を見過ごして黙ってSクラスに入れさせたのか。 どうせ俺がSクラスの授業に着いていけなくなり、いずれは根を上げるだろうと思ったのだろう。 学園長は覚束ない返事を繰り返す俺に気を悪くしたのか、眉をひそめた。マズい、早く自分の口から説明しなければ。
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