王立スローラル学園

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「じ、自分は………Sクラスに相応しい人間ではない、と分かった。」 「へえ……そうなの。それで?貴方は私にどうして欲しいわけ?」 「………然るべきクラスに、編入させていただきたい。」 視線が痛い。投げかける言葉が鈍器のようだ。心臓を掴まれているような感覚に汗が止まらない。 顔を上げるのが、怖い。 「………………」 「…………あ、あの………」 「ハア………。ほんっと、先輩に似てないこと。」 「えっ。」 「ううん、何でもない……わかったわ、許可してあげる。でもいいの?あなたは五大貴族の一人。これはニュースになるわよ?」 「か、構わない……覚悟の上だ。」 『お前などもう知らん』と言われたのだ。俺に都合の悪い記事が世間に流れたところで気にとめる事はなかろう。 「ま、私の立場に問題が無いなら大丈夫よ。精々頑張りなさい。」 「え………」 「流石に絞られたようね。目の色が変わったのは否応無しとみた。今後の活躍に期待するわ。」 「ご、ご配慮痛み入る……」 学園長、飴と鞭を使い分ける。おかげで俺の精神は満身創痍となった。 その後、俺は一通りの手続きを済ませると、仕事の邪魔と言われ部屋を追い出されるのであった。 「失礼する。三階生、Bクラスの担任の教諭殿だろうか。」 「あ゛?」 学園長室にてクラス決めをした。それは時間が無いということで俺の前回の試験結果から判断された。 結果はBクラス。強くもなければ弱くもない、ごく平凡なクラスに編入する事となった。 「何か用か?」 「私は本日からSクラスよりBクラスに降格する事になった、エル・ソルトという者だ。詳しくは学園長から伝言の便りを預かっている。」 「はあ?SクラスからBクラスだと?その手紙見せてみろ。」 このガラの悪い灰色の髪の女教師がBクラスの担任らしい。煙草を吹かしており、煙が辺りに広がっている。臭い。 彼女は灰皿に煙草を押し付け、折り畳まれた便りを面倒そうに開いた。 「ほ~ん、なるほどな。アホだな、お前。」 何が書いてあったのだろう。 碌(ろく)な事じゃないのは確かだ。そもそも編入理由が馬鹿馬鹿しさの塊で出来ている。今日だけで二人から憐れみの目を向けられている。 「わーったよ。今日からお前がウチのBクラスに編入すんだな。にしても、よくウチがこのクラスの担任だとわかったよな。」 「そ、それは……」
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