王立スローラル学園

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“職員室に柄の悪い先生居るから、その人よ。” アリアス学園長の抽象的な説明。わかるか不安だったが職員室の戸を開けて二秒で気付くことができた。 「はあ~あ……そろそろホームルームの時間だから行くぞ。自己紹介考えとけ。 」 「あ、ああ……」 女教師は俺にそう促すと、机の下から脚を出してストッキングを上げ始めた。いや、ちょ……目の前に良い歳した男子高等学生が……。 「あ~、それとだな……ウチはティム・サークスっつう名前だ。ギルドランクはA+。よろしくな。」 「今後とも御指導宜しく頼む……」 只者ではないのは分かっていた。さて、この熱くなった顔をどうやって冷ましてやろうか。 ─────────────── 場所は変わり、Sクラス。 「おい、噂聞いたか?」 「ん~?どうかしたのバン。」 「エルがBクラスに降格したって話だ。さっきからカイルの野郎が騒いでただろうが。」 「あ~、そうみたいだね。」 教室内はエルがBクラスに降格するとの噂で持ちきりになっていた。何故なら自称情報屋を名乗る生徒、カイル・オルドックが職員室でその話を盗み聞きし、その話を瞬く間に広げたからである。 王国において“火”の柱を務める五大貴族の一人、バン・フレイと、同じように“水”の柱を務める五大貴族の一人、ウェル・プリムもまた、エルの事について話していた。 するとそこに、黒髪の女子生徒と白金髪の女子生徒の二人が現れた。 「どうやら本当の話みたいよ、それ。」 「メアにシェリアか。」 「アタシ達も気になって職員室に行ってきたの。そしたら先生達の間でも有名になってたわ。」 “闇”の柱が娘──メア・ネストと、“光”の柱が娘──シェリア・エクセントがバンとウェルの会話に加わった。こちらもどうやらエルの事について興味を示しているようだ。 「やっと学園はアイツを罰する気になったようね!流石の横暴に業を煮やしたってところかしら。」 「エル君の事だから、またお家の力でどうにかするんしゃないの?」 「う……た、確かに。」 メアの期待をウェルが直ぐに封殺する。何も言い返すことが事が出来ず、メアは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。 「なら降格なんて意味無いじゃない。どうせまた今までと同じような事が繰り返されるんでしょうね……」 「ハハッ!言えてるな!」
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