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「………」
好き放題に言うバンとメア、そしてそれを面白そうに眺めるウェルの三人。
どうしてこうなってしまったのだろうと、そんな事を思いながらシェリアは三人の側で黙っていた。
そうしてあると、そんな四人の側に一人の男子生徒が近付いて来た。
「うす、ちょっといいか~?」
「あら、カイルじゃない。アイツの事?」
カイル・オルドック。エルの話を広めた張本人だ。細身の高い身長の彼は片手にメモ帳を常に持っており、かけている眼鏡は胡散臭い形をしている。
「いや、俺もソルトについての情報を知りたくてな……同じ五大貴族のお前らなら、何か知ってんじゃねぇかと思ったんだ。」
「アタシ達は何も知らないわよ。最後に会ったのは二日前の国際交流試合の時だから。」
「ああ、そうだな。にしてもエルの野郎また無様に負けやがって………くそ!たまには綺麗に五連勝させろや!」
バンはカイルの質問も忘れて勝手に怒り始めた。どうやらエルの事が恨めしいようだ。
「そうか……あの高飛車な性格の奴が試合に負けたからってBクラスに行くとは考え難いんだよなぁ……」
「あ、やっぱりカール君もそう思うんだ?なんか僕も腑に落ちないんだよねぇ。」
「ま、いずれにせよこりゃ大事件だ。なんたって五大貴族がBクラスだからな、俺はこのまま聞き込みしたりして調べるぜ。」
「あ。アタシ達にも教えてね。」
「おう、それなら情報りょ───」
「い・い・わ・よ・ね?」
「うぃ……わかーした。」
情報屋も女子の凄みには弱いようだ。あっという間に小さくなった去っていった。
そんなカイルの背中を見ながら、ウェルが懐かしむように言葉をこぼす。
「ここにエル君いたら怒ってただろうね。」
「うるさいわよ?きっと。」
「ふ、二人とも………」
尚もエルの面倒くささを語り始めるウェルとメアの二人。流石に憐れに思ったのか、シェリアが恐る恐るたしなめた。
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