王立スローラル学園

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「ほら、お前の席はあいつの後ろだ。」 ティム教諭に顎で促されると、興味ありげな顔で此方を窺う茶髪の男子生徒の後ろの席に座る。 「じゃ、ソルトの自己紹介も終わったしホームルームに移るぞ!今日は────」 今日の予定が話される。Sクラスにいた時のレイル教諭とは大違いのやり方だ。伝え漏れ等が有りそうで心配になってしまう。 それは置いといて、だ。 教室内の大半が俺の方を一目、二目と窺っている。……まあ、俺が彼らでも同じ様な反応をするだろうなが。 「あのさ……エル……様?」 俺の前に座っている茶髪の男子生徒が話しかけてきた。しかし何処となく不安そうだ。 「“様”は要らない。それに敬語も使わなくて構わないぞ。言っただろう?気軽に話しかけて良いって。」 「そ、そうか……?なら遠慮しないぞ、まずは自己紹介な。俺はココ・シルバっていうんだ。」 「そうか……」 “ココ”……か。見かけの割には可愛らしい名前だな。 「可愛らしい名前だな。」 「バッ!それは言うんじゃねぇよ!!言われんの嫌なんだよ!」 しまった、どうやら声に出ていたようだ。知り合って一分も経たないうちに怒らせてしまった。 「まあどうでもいい。宜しく頼む、ココ。」 「どうでもいいってお前………ねえ、何で温かい眼差しで俺の名前呼ぶの?」 どうしても犬が頭に浮かんでしまうからだ。マルチーズあたりの白い犬種。 いやしかし、面白い奴と仲良くなれたな。 「ココは何の魔法を使うんだ?」 「その顔で訊く事かソレ……まあいいや。俺は火と地属性を使えるんだ。」 「ほう……複数持ちの上に一方は補助属性でもある土か。珍しいな。」 「へへ、そうだろ。」 Bクラスにも実力を期待できそうな者がいるものだ。少し偏見を抱いていたかもしれない。このココの場合、火属性の魔法で攻撃に回り、地属性で防御壁を作れば攻守共に優れた戦闘が出来そうだ。
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