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「なあなあ、エルってさ、なんでBクラスに編入したんだ?」
「実力がSクラスに伴わなかったからだ。五大貴族を名乗るには俺は弱過ぎたのさ。」
「へぇ……でも、雷属性の魔法は長けてるんだろ?」
「そう思うかもしれないだろうがな……俺は頑張っても平凡な動きしか出来ないんだ。魔力量も平凡だしな。弟や他の四人は二万や三万と言った数字を叩き出しているんだが………」
これでSクラスになろうと思った俺はある意味凄い。
ココは意味あり気な俺の発言に聞いてはいけなかったといった顔をして言って曖昧な反応を示した。
「……俺、悪いこと聞いちゃった?」
「気にするな、己の未熟さはもう開き直るレベルに達しているからな。」
「お、おう。」
本当、これからどう強くなって行けば良いのだろう。前途多難過ぎる。
「俺さ、エルの悪い噂はよく聞いてたけど、話してみると悪い奴には思えないけどな。」
そりゃそうだ。前世の俺とこの世界で生きて来た俺の性格はかなり異なっているからな。かなりの変化はあっただろう。
「色々あったんだ……」
「そ、そうか……」
どうやら俺はかなり憂いた顔をしているようだ。心配と同時に哀れみの目が向けられている気がする。悪いな、二度も引きつった愛想笑いを浮かべてくれて。
「そういや、平凡って言ってたな。魔力量の平均ってどんくらいだったっけ?」
「確か1200から1400程度だ。」
「あ~、確かにこのクラスは俺も含めてそんくらいの奴が多いな。でも、三、四人くらいは2000から4000くらいあった気がする。」
マジか。大真面目な鍛錬が必要とされるな。下手すると前世より辛い生活が待っているのではなかろうか。
こんな人間に生まれ変わらなかったら、のんびりと暮らして行く予定だったのだが……。
まあしかしだ。こんな人間に生まれ変わってしまった以上、何かしら汚名返上をしなければ生き辛くて仕方がないだろう。鍛錬のためにも、あまり反則な能力は使わないようにすべきか……。
俺の現在の魔力は1400程度。これで何処までSクラスに座する者に通用するだろうか。
先ずは魔力の基準値の底上げをしながら魔力をあまり使わない戦い方を身に付ける必要があるだろうな。
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