王立スローラル学園

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イメージトレーニングが大切であるという事を思い知った。 やはり難しい。自分に合う魔法が無い、それなら新たな魔法を作り出してしまおうという発想に思い至ったが、細かい想像力が問われるようだ。 「おーい!エル!調子はどうだ?」 ココは一通りの内容を終えたのか、俺の様子を見に来た。 「芳しくない感じ、だな。だがしかし俺は魔力のコントロールが得意のようだ。形だけなら少しずつ整い始めているのがわかった。」 「へぇ……凄ぇじゃん!俺は火属性は得意だから良いけど、地属性の扱いが難しいんだよな……魔力のコントロールが揺らいで塊が崩れるんだ。頭から被っちまったよ。」 だから砂まみれなのか。ほう、修練場の一部の地面がまるで耕されたかのようになっているな。 地属性の扱い方か……それは火属性を使って応用できないものなのだろうか。 「地属性の魔法で造った土塊を火属性で強化すれば良いんじゃないか?火は粘土を硬化させるからな。」 「おお!いいなそれ……ああでも、もう今日は魔力があまり残ってねぇや。また今度試すとするわ。」 「そうか、頑張れよ。」 「おう!」 懐かしい。誰かと一緒に自分を高め合うなんて、前世を含めても久々な事だ。エル・ソルトとしては中等部に上がる前に弟のアルと勉強した程度か。 ああ……あのときのアルはまだ甘えん坊で可愛かったのに……今は生意気な弟になってしまって……。 まあ何だかんだ今も可愛いけどな。 木剣で模擬戦を繰り返し、疲れ切ったところで鍛錬を終えた。 ココが帰った後、俺はシャワーを浴びてから食事を作り、食堂でのんびりと夕食を楽しんでいた。一人も良いものだ。急かされなくて済む。 寛いでいると、目の前の食事が突如影に覆われた。 「エルよ……」 「うわっ!?」 低く鈍い声。驚いた俺は肩を跳ね上げ。テーブルの裏に全力で膝をぶつけた。 「ち、父上……何でしょうか。」 後から来る痛みが中々の痺れを伝わせる。苦痛に歪めかけた顔を我慢し、愛想笑いを浮かべて体を向き直した。 「………後で私の執務室に来い。」 「? はい、分かりました。」 何の話しだろうか?少なくとも良からぬ話にはなりそうだ、勝手にBクラスへと降格したのだから。 良くも悪くも、父に話し掛けられた事は嬉く思った。しかし俺を年相応に認めてもらうにはまだまだ努力が必要だろう。 俺は早々と食事を済ませた。
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