王立スローラル学園

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────────── 「エル。明日からお前の罰を解く。」 「………え?」 執務室。 ウルに呼ばれたエルは開口一番に罰を解くと告げられた。予想外の内容にエルは驚く。 それも当然のことであろう。エルはもっと長い期間を一人でやって行くつもりであったのだから。 一方で、ウルは久々に不良息子の顔をじっくりと眺めていた。見定めるような細い目で、数日間を一人で過ごしたエルを射抜く。 ウルがエルの罰を解く事には理由が有った。 ─── ─────────── ─────────────────── 「えっ!?エルはもう学園に向かったの……!?」 ソルト家の当主の妻である自分ですらまだ半目の早朝、そんな時間にも関わらず、食堂ではサヤの驚きの声が鳴り響いた。その目の前で、ウルは騒々しいと言いたげな顔で話を聞いていた。 「ハ、ハイ……!それが……エル様は『徒歩で通学しなければいけない』と仰っておりましたので……」 「だから早く……?それにしても早過ぎないかしら?」 「別件で用事があるそうです。」 「そうなの……いえ、それでも通学まで自分一人で……せめて私に一言くらい………」 エルは既に学園に向かった。冷静に聞いてはいるが、ウルはそれを聞いて内心では驚いていた。 ウルが怒鳴り散らしてからエルの様子が激変した事は聞いていた。それにしてはあまりにも変わり過ぎだと周りは言うのだ。 (少し言い過ぎたか……?) いや、間違っていない。自分の判断は決して息子に悪影響を与えるものではなかったと、顔を小さく振って思い込む。 「どうせ無駄なのに……」 「む?なんか言ったか?アル。」 「っ……い、いえ、何でもありません。」 アル・ソルト。エルの弟ではあるが、あまり関心は示していないようだ。これでも昔はその兄に甘えた事もあった。今では有り得ない兄弟関係であった。 いつから兄離れしたのだろうか、とウルは疑問に思う。子供の成長とは早いものだと感慨に浸った。 しかし、アルが兄を慕わない理由はウルも直ぐに理解できた。愚行を繰り返す兄を誰が尊敬できようか。 「エル……」 「心配のし過ぎだ。食事時だぞ、先に着いたらどうだ……?」 昨日からサヤは何度もこのように呟くことが多くなった。 ウルは思う。もうエルは十八歳になったのだ。大抵のことは自分で出来るようになって当たり前なのである、と。
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