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「エル、貴様の罰を解く。」
「………え?」
……どうやら俺は今日色んな事があったせいか、聞き間違いをし易くなっているようだ。父上には悪いが、もう一度言ってもらおう。
「それで父上、俺に何の用でしょうか。」
「いや、だから、お前の罰を解くと言っているのだ。明日からまたマリーがお前の身の回りを管理してくれる。」
やはり俺は聞き間違えをしていなかったらしい。しかし、あんなにも怒り心頭であった父上が、何故このタイミングで?
「父上……良いのですか、こんなに期間が短くて。」
「構わん。私が周囲の人間のお前に対する反応を窺った結果だ。反省しているようだから解いてやるだけだ。」
周囲の人間……マリーだろうか。いずれにせよ、罰が解ける事は俺にとって非常に有り難い。“外”に向けた行動に制限がかかってしまうからな。
「……………それに、お前が居ないとサヤや侍女の調子が狂うからな。」
「はい?」
「いや、何でもない。気にするな。」
皮で仕立てられた執務椅子に座る父上が恨めしそうに俺を見上げる。まだ怒っているのではなかろうか。
「それとだエル。お前の学園でのクラス降格の話を聞いた。何故、私やサヤに黙ってそのような事をしたのだ。」
「降格を申し出た理由は……俺は改めて自分を見つめ直し、間違い無くあのSクラスでは付いて行けなくなると思ったからです。
それに……父上は俺の事を“もうどうなろうと知った事では無い”と仰いました。」
今さらこの様な事を言えば父上は怒るかもしれない。もっと言葉を選ぶ必要があったか。
「そうか……。済まなかった、エル。」
「はい…………はい!?」
返事をして顔を俯かせるも、直後に異変に気付き父上の顔を二度見してしまった。
父上が、謝っただと………。
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