-Prologue-

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「これは、お前が成人した時のために取っておいたものだ」 男性は、まるで写真立てに語りかけるように呟く。 写真立てに収まる写真に写っているのは、今より若い男性と少女と女性の3人。 「もうそれも叶わない。だから、漸く来たこの時に」 男性はワイングラスを3つ並べると、ワインの栓を開け、それぞれに注いだ。 綺麗なロゼ色の液体が、パソコンの光を反射してキラキラと輝く。 それはまるで、男性を称えているようだった。 「乾杯」 チン、と澄んだ音が部屋に反響して、消えた。
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