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2LDKのアパートのすみに設置された、バスルームから水音が溢れていた。
「~♪」
それに、少女の楽しげな鼻歌が混ざりこむ。
が、それもすぐに終末を迎えるのだった。
「あ゙」
先程とは一転、少女の苦々しい声が響く。
それと同時に水音は止み、しばらくの間の後バスルームのドアが開いた。
現れたのは、地面に付きそうな程長い髪の少女。
その髪は白と黒の斑に染まっている。
雪のように白い肌の少女の名前は有栖川深音。
ピチピチの女子高生である。
「まさか無くなるとはね……」
ため息混じりに深音は部屋のすみに置かれた鏡の前に立った。
「染髪料が無くなるとは予想外だよ……。これじゃ逆に目立つじゃん」
深音は鏡に映った己の髪を見渡し、再度ため息を付く。
白と黒の髪など、目立つ他無い。
「新しいのは……店開いてないね、うん」
時刻は6時半。
コンビニはともかく、普通の店は開いていない時間である。
深音が愛用している染髪料はコンビニには売っていないため、店が開くのを待つしかない。
「学校ある日にやるんじゃなかった……」
しかも、今日は学校があるのであった。
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