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その日は、先生に髪色で「またか」と苦笑されたくらいで、特に特筆すべきことは無かった。
高校3年生であるため部活が無い深音は早々に下校し、自室でパソコンと向かい合っていた。
見ているのは掲示板。
ここにはいつも真偽様々の情報が飛び交っており、眺めているだけで面白いので、深音はしょっちゅう眺めていた。
勉強しなくて良いのか、と問われると、その答えは是。
深音の記憶力と頭脳は半端なく、大学を受験するには十分の知識が既にあるからだ。
センターと国公立大学の入試試験を全問正解してみせ、先生から呆れられたのはちょうど一月前のことである。
では何故学校に行っているかと言うと、青春を満喫するためである。
今年で5年目の普通の生活が、深音にとって楽しくてしょうがないのだ。
「……ん?」
相変わらずの掲示板を眺めていると、目に入ったのは一つの名前。
Spirit Extermination Application。
直訳すると、幽霊退治アプリ。
他の意味の可能性もあるが、訳としてはこれが妥当だろう。
略称はS.E.A.
「なになに……今日、突然配信された謎のアプリ。気がついたらインストールされており、たまたまインストールの瞬間を目撃した人の証言を総括すると、どうやら一斉に配信されたようである……へぇ」
面白そうな話題に思わず深音は身を乗り出し、画面を高速でスクロールしながら情報を集めていった。
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