雨と猫

3/12
前へ
/41ページ
次へ
「萌、何やってんだよ、こんなところで」 後ろからぽんと肩を叩いたのは遼ちゃんの弟の淳。実は淳と私は同じ年で、遼ちゃんは2人より3歳年上の社会人。 だからこそプレゼント選びが難しいのだ。 ガキって思われないように、だけどありきたりじゃなくてなんて、卒業論文より難しいよ。 「なんだ淳か……」 思わずがっかりが顔に出てしまう。 声が似ていても、顔が似ていても、所詮淳は淳。 しかもここはキャンパスだから遼ちゃんがいるはずもない。 「うわぁ、兄貴にはそんな顔見せないくせに」 「当たり前でしょう。遼ちゃんは特別なの」 「ばらしてやる」 「いいもん。遼ちゃんはあんたの話なんて信じないもん」 不貞腐れる淳を置き去りに歩き出すと、淳も慌てて追いかけて来る。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1244人が本棚に入れています
本棚に追加