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「本当にベタ惚れだよな、お前。そのうち会社のボンキュボンなお姉さんに持ってかれるのが落ちだと思うけど」
「煩いわね。遼ちゃんはあんたと違って誰にでもへらへらしないから大丈夫だもん」
「わかんねぇぞ。昨日も女から電話かかってきてたみたいだし」
「何それ? 聞いてない」
「そんなの女から電話があったなんて言うかよ」
「うそ……。でも、あれでしょ。仕事の話だよ、うん。間違いない」
「知らないけど。乗ってくか?」
「え、あ、うん」
門を潜ってすぐの所に見覚えのあるバイク。
淳は電車に間に合わないからいつもバイクで通学していて、こうやって出会うといつも乗せてくれる。
ご丁寧にヘルメットも常備。
MOEって名前の入ったヘルメットなだけに、誰にも使わせてはいないようだ。
しかも淳のと色違い。
「もうこのヘルメット新しいのに変えて、彼女作ればいいのに」
「良いんだよ、これで」
切なそうに笑う淳の気持ちには気がつかないふり。
キャンパスで2人が付き合っていると噂になるのも頷ける仲の良さだけど、私が好きなのは遼ちゃんだから、幼馴染を貫くしかない。
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