家畜

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「まあ、私に専門的な知識がある訳でも無いので、信じるか信じないかはお任せします」  そう伝えると、マクシムは薄目を開けて口角を上げた。一方、アランは目線を動かし、金属製の棚を見やる。 「ああ、そうでした。グローブも用意しないと」  そう言って棚の方を向き、マクシムはその下方を指差した。彼が指差す先には紙製の箱が並べられており、その幾らかは開封されている。 「ものがものですからね、直接触るのは避けるべきです。現時点では、病気を持っているかも分かっていませんし」  そこまで言ってしゃがみ込み、マクシムは紙箱の一つを手に取った。 「本当は、始めにグローブをはめてから、他を用意すべきなんですけどね。目線より下に置かれているせいか、どうにも忘れてしまって」  マクシムは、そう言うと苦笑しアランに紙箱を手渡した。その箱の上部は一部くり抜かれており、そこからラテックス製の手袋を取り出せる様になっている。  この為、アランはくり抜かれた穴から手袋を取り出した。そして、紙箱をマクシムへ返すと、液体入りの容器を脇に挟んで手袋をはめる。そうしてから、アランはマクシムの方へ手を伸ばし、柔らかな声色で言葉を発した。 「マクシムさんもはめて下さい。手を塞いでいる箱は持ちますから」  それを聞いたマクシムと言えば、金属製の箱をアランに手渡した。彼は、そうしてから薄手の手袋を取り出し、用の無くなった紙箱を元の場所へと戻す。
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