家畜

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「この箱は、使ったら元の場所に戻して下さい。空になったら、捨てますけど」  言いながら手袋をはめ、マクシムは部屋の隅へ目線を動かした。すると、部屋の隅には蓋付きのゴミ箱が何個か置かれ、それぞれに捨てるものの例が書かれた紙が貼られている。  その中には、燃えるものと書かれた紙も在り、空き箱はそこへ捨てるよう指示されていた。また、生ゴミや瓶と書かれた紙も在り、その横にはパイプを組み合わせて作られた棚が置かれている。 「さて、そろそろ開始しますか。アランさんは、屑の太腿を押さえていて下さい。麻酔は掛けませんので、少しは動くことがありますから」  そう言うと、マクシムはアランから金属製の箱と液体の入った容器を受け取った。そして、椅子に固定された男の前に立つと、手術すべき部分を露出させる。  一方、それを見たアランと言えば、戸惑いながらも男の背後から大腿を掴んで開かせた。すると、それらの刺激で目を覚ましたのか、椅子に固定された男が顔を上げる。  拘束された男の口には、声を出せぬよう轡が嵌められていた。男は、それを外そうと顔を動かすが、しっかりと嵌められているせいかそれも叶わない。 「無駄ですよ。例え外せたとして、助けなど来ませんし」  マクシムは、そう言ってから液体の入った容器を開け、その数割を先程露出させた部位に掛けた。この為、男は体を動かして拘束から逃れようとし、それをアランが押さえつける。 「これから、もっと動くと思います。しっかりと押さえていて下さいね」  そう言って剃刀を手に取り、マクシムは処理を始めた。その数分後、彼の居る部屋には男の低い呻き声が響き始める――
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