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「そう言えば、ニコライ様に言われました。緩衝材になって欲しいと」
アランの話を聞いた者は首を傾げ、その仕草を見た話し手は言葉を加える。
「自分で言うのも変ですが、人の良さそうな見た目だそうで。それで、少しは心のケアになるとかどうとか」
そう説明をすると、アランはどこか恥ずかしそうに微笑んだ。対するマクシムはゆっくりと頷き、それから自らの考えを付け加える。
「私自身、アランさんに怖い印象は有りませんでしたからね。ニコライ様の判断は正しいのでしょう」
そう言って目を細め、マクシムは細く息を吐き出した。
「この仕事は忙しいものでもありませんし、アランさんの仕事はそちらがメインになるのかも知れませんね」
それを聞いたアランと言えば、どこか悲しそうに言葉を発した。
「折角、色々と教えて頂いたのに、そちらがメインになるのは残念ですね」
そう言って指先で頬を掻き、アランはマクシムの目を見つめた。すると、マクシムは小さく息を吐き、それから目を瞑って言葉を漏らす。
「大したことを教えてはいませんけどね。それに、色々と体験しておくのは良いことですよ」
マクシムは、そう返すと柔らかな笑みを浮かべてみせた。しかし、その笑みはどこかぎこちなく、アランは無意識のうちに小さく首を傾げた。
「まあ、仕事が変わるならニコライ様から連絡が来るでしょう。私達は、それに従うまでです」
そう言って目を細め、マクシムは細く息を吐き出した。対するアランはゆっくり頷き、それから自らの考えを口にする。
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