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「さて、どうしたもんかな」
そう言って立ち上がると、アランは自室の出入り口を見やった。彼は、そうしてから自室を出、自販機が並べられた部屋へと入った。
アランは、そこで良く冷えた水を購入し一気に飲み干す。そして、空になったボトルを回収ボックスへ入れると、近くに置かれた椅子に座った。
時間が早いせいか、アランが居る部屋には他に誰も居なかった。この為、会話の声は一切聞こえず、自販機から発せられる音だけがアランの鼓膜を震わせている。
アランは、暫く椅子に座ったままでいた。そして、数十分程したところで食堂へ向かい、そこで作られたばかりの料理を受け取った。その後、アランは淡々と料理を口に運び、全てを食べ終えたところで食器を指定の場所に返して食堂を出る。
アランは、実験棟へ向かうと白衣に着替え、マクシムと共に仕事を始めた。マクシムは、彼に今の体調はどうかを尋ね、アランは悪いところは無いと答える。
二人は、その後も淡々と仕事を続け、空いた時間に他愛ない会話を繰り返した。しかし、次第に話す内容も減っていき、二人はそれぞれに資料室に置かれた本を読むようになっていった。
とは言え、完全に会話が無くなった訳ではなく、マクシムはアランが本を閉じたところで口を開いた。
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