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「ところで、アランさんは仕事が終わってから何をして過ごされています?」
マクシムから問いを受けたアランは本をテーブルに置き、それから質問に対する答えを返した。
「寝るか、体を鍛えるか……ですかね。ここへ来るまでは、時間が出来たら後輩にちょっかいを掛けてもいましたが」
そう言うと微笑し、アランは更なる言葉を加える。
「別に不満は有りませんが、ここはやれることが少ないですからね。時間が開いた時に、何をして良いか模索することもあります」
アランは、そう言うと苦笑いを浮かべてみせた。対するマクシムは目を細め、自らの考えを話し始める。
「確かに、ここは外出を制限されていますからね。必然的に、やれることも制限されてしまいます。ですが、資料室で外の情報を得ることも出来ますし、欲しいものが有れば申請して手に入れることも可能ではあります。多少は、退屈な生活かも知れませんが、慣れれば時間の使い方も分かってくるでしょう」
そこまで話したところで、マクシムはアランの目を見つめた。一方、アランはゆっくりと頷き、それからマクシムの目を見つめ返す。
「何事も、時間が解決する……ですか。確かに、そうかも知れませんね」
そう返すと、アランは目を細めて小さく息を吐いた。
「食事の後、時間を置かずに寝るのは体に良くないと聞きますし……何かしらを手に入れてでも、夕食後の時間を有効に使いたいものです」
アランは、そこまで言ったところで微苦笑する。一方、それを聞いたマクシムは、小さく息を吐いてから口を開いた。
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