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「りお、寒くねえか?」
一面の雪景色、
朝の雪にはまだ誰の足跡もついていない。
「ううん。寒くないよ。奏さん、さあ行こうよ」
手を引いてキラリ光る雪の中へとりおが誘う。
「きれい~。わたしたちだけしかいない世界みたい」
ウサギの帽子を被ったりおが嬉しそうにスキップした。
「転ぶぞ」
「大丈夫!奏さんがいるから」
にこっ
笑ったそばからりおが雪に足を取られた。
「きゃっ」
「ほら、」
転びそうになったりおの体をきゅっと抱き寄せた。
「仕方ねえやつだな」
「てへっ」
抱き寄せた体を強く抱え上げた。
そしてゆっくりと歩いてきた道を振り返る。
「りお、これが俺たちが歩いてきた道だ」
「うん」
誰も歩いたことがない雪の上に寄り添うようについた足跡。
これからはひとつの足跡になって道を歩んでいく。
「ふたりで」
朝の雪景色でした。
りかりーより、このページを読んでくださった方へのお礼です。
m(__)m
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