恋時雨

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慎ちゃんは、雨が降ると 私を思い出したと言って会いに来る。 それは出会いが雨の日だったからか 梅雨時になると私の家の前が 紫陽花でいっぱいになるからなのかは わからないけど、 奥さんに優しい慎ちゃんは こうして雨がよく降る季節にだけ 急にふらっとやって来て、 私を抱くんだ。 「...そっか」 慎ちゃんは優しく笑って、 私の髪を撫でてくれる。 それが嬉しくて、寂しい。
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