2人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、目の前の紅が消え
黒が視界に入ってきた
顔を上げると喪服に身を包んだ白髪の美しい少女が
僕の目の前に立っていた
少女「幸野 美弥くん…だよね?」
知らない少女は僕の名前を呼んだ
僕「そうだけど…君は?」
少女「季嶋 智笑」
僕「どうして、僕の名前を?」
智笑「美樹がいつも話してた」
姉さんの名前を聞いて僕は
思わず立ち上がっていた
僕「姉さんのこと知ってるの?」
智笑「うん」
彼女は悲しそうに笑いながら頷いた…
僕「どうして…僕に…?」
話しかけてきたの…?
と、続けようとした僕に
彼女はそっと抱き着いてきた
突然の出来事に僕の言葉は途切れ
思考も止まってしまった
そんな僕のことを気にもせず
彼女はその細い腕に力を込め
優しく、ギュッと抱き締めてくる
柔らかくて暖かいその身体から
僕は懐かしい香りがすることに気づいた
だって、それは…
姉さんの…香りだったから…
最初のコメントを投稿しよう!