プロローグ

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ふと、目の前の紅が消え 黒が視界に入ってきた 顔を上げると喪服に身を包んだ白髪の美しい少女が 僕の目の前に立っていた 少女「幸野 美弥くん…だよね?」 知らない少女は僕の名前を呼んだ 僕「そうだけど…君は?」 少女「季嶋 智笑」 僕「どうして、僕の名前を?」 智笑「美樹がいつも話してた」 姉さんの名前を聞いて僕は 思わず立ち上がっていた 僕「姉さんのこと知ってるの?」 智笑「うん」 彼女は悲しそうに笑いながら頷いた… 僕「どうして…僕に…?」 話しかけてきたの…? と、続けようとした僕に 彼女はそっと抱き着いてきた 突然の出来事に僕の言葉は途切れ 思考も止まってしまった そんな僕のことを気にもせず 彼女はその細い腕に力を込め 優しく、ギュッと抱き締めてくる 柔らかくて暖かいその身体から 僕は懐かしい香りがすることに気づいた だって、それは… 姉さんの…香りだったから…
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