始まり

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「この池田屋事件で活躍したのは」 「もちろん新撰組です!」 先生が誰だか尋ねるより早く、張り切って答えてしまった。 「正解だが、先生が言い終わるのを待ってくれないか?」 先生は口元を引きつらせながら、こちらを見て怒る。 つまんないの。怒らなくてもいいじゃん。 不機嫌になり机に突っ伏す。 先生が話す内容はどれも私にとっては知っていることばかりで、わざわざ授業を聞くまでもない。 だけどそう思っていても幕末、特に新撰組のことになると反応せずにはいられない。 新撰組に会えたらな~。もし幕末にいけたら絶対に新撰組の人達を救いたい!! なんてことを考えていると視線を感じる。 ふと右の方を見ると春と目があった。 春は拗ねている私を一瞥すると、前を向いて授業を聞き始める。 春と私は仲の良い姉妹だと思う。 でも、一つだけ気が合わないところがある。それは歴史のことだ。 私が新撰組を好きなのに対し、春は高杉晋作や吉田稔麿、所謂倒幕派と言われていた人たちを尊敬している。 だから私たちが歴史のことについて話し出すと、必ずと言っていいほど喧嘩になってしまう。 どっちがかっこいいだとか、もし○○が生きていたらとか、そんなくだらないことでよく争っていた。 全てもしもの話だから、最終的には"昔のことだから争っても仕方ないよね"って言って、笑って終わるんだけど。
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