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入口で呆然と立っているハイオクマンタンの方に
老夫婦は顔を向けた。
「……」
何を問うわけでもなく、
老夫婦は無表情のまま二人を見つめた。
ごくりと唾を飲み込んだハイオクは、
隣で固まっているマンタンを小突く。
マンタン、ハイオクに小さくうなずき、
二人で拍手をした。
「どーもー!ハイオクマンタンでーす!」
めいっぱいの笑顔を向ける二人を
老夫婦は冷たい目で黙って見つめている。
「い…いこう…」
二人はその部屋を通り過ぎていく。が-
「あ、カメラ忘れてきた…」
二人、再び引き返そうとして、
老夫婦の部屋をチラと見ると-
「!」
誰もいない。
「ひいいっ!」
二人はもつれるように逃げた。
廃墟の闇から、
クスクスと笑い声が聞こえる-
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