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女はなにも応えない。
「まさか、上で怖い人が待ち構えてるとか…
そーゆーのやめてよね…てか、
やめたほうがいいよ。
おれ、空手やってたから。
マジで。
マジ、おれユーダンシャだし」
その虚勢にも無反応の女-
男がついてくると確信しているのか、
男にまったく関心がないのか。
女は黙ったまま階段を上がっていく。
その尻を下からケータイカメラで撮る男-
「……」
男はスケベ心に勝てず、
不安を抱えながらも女の後を追って階段を上った。
下では冷たい風が吹いていたが、
屋上では空気がどんよりと澱んでいるように感じた。
男は辺りを用心深く見回した。
だれもいないみたいだ。
「ツツモタセじゃないね、よかったぁ…
あ、いやオレ、ユーダンシャだけど」
男はケータイで女をじっくり撮りだした。
「じゃ、あれだ。 根っからスキなんだ。
やりたくてやりたくてたまんない子なんだ。
ヤラシー子なんだ」
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