ランチタイム

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「付き合って何ヶ月だっけ?」 時はお昼、場所は食堂でのランチタイム。 食券と引き換えられたエビフライ定食の乗ったトレイをテーブルに置くと同時に、先に席に着いていた友人のミナミが尋ねてきた。 カタンと椅子に腰を下ろすあたしへ、あんたたち。と付け足して持参の弁当を広げる。 「どれくらい、…だっけ」 明確な日付を答えるべきかと、そもそも今日が何日か分からなくて隣に座る『あんたたち』の片割れへ視線を促す。 「もうすぐ3ヶ月」 その片割れは一瞬の間もなく即答した。 こちらも持参であるパンを頬張りながら。 「あ、そんな経つ?」 「酷いねぇ、覚えとこうよ」 特に長いとも短いとも感じなかったけど、思わず出た言葉に苦笑いを浮かべられ、ごめんごめんと笑って返す。 「あー、そっか。二人、入学してすぐに付き合い始めたもんね」 本来このような言葉は上記のやりとりをしたあたしが言うべきだが、それは玉子焼きを刺したフォークを揺らすミナミの口から出た。 「うちのクラスの最初のカップルだよね」 言われて思う。 確かにそうだった。 あたしがこの片割れ、遠藤朋也(エンドウトモヤ)と付き合い始めたのは入学後すぐで、今は夏休みが目前。 考えなくても付き合いの期間なんて算出できたのではないか、当人なのだから。 自分の頭の中の空っぽさ加減に乾いた笑いが零れる。 「朋、ごめんね」 だからとりあえず謝った。 ヘヘ、と笑いながら。 朋也はいいよ。と微笑んであたしの頭を撫でた。 そっか、もう3ヶ月かぁ……。
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