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彼女は澄んだ黒い瞳を僕に向けた。
真っ直ぐに僕を見ているその瞳に、僕も真っ直ぐ目を向ける。
そしてそのまま彼女が口を開いた。
「望むことなんて何も……」
そこまで言うと口を噤んだ。
「何?言って?」
僕がそう言うと、彼女は躊躇しながらも再び口を開いた。
「ただ……あなたが私といて、心穏やかになれればいいな…って思う」
彼女の答えに僕は目を見張った。
「それで、あなたが楽しいと思う話を、私に聞かせて欲しい…」
何て事だ。
それが彼女の望む事ならば、僕のすることなんて何もない。
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