切望

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「ダメ…かな?」 問いかける彼女の潤んだ瞳。 参った。 本当に参った。 僕は思わず彼女の手を引き、細い肩を抱きしめた。 突然の事に戸惑った彼女は、僕の腕の中で少し身体を固くする。 「そんなこと、いくらだってするよ。 君が僕に笑顔を向けてくれるのなら、いくらだって…」 所在なく宙に浮いていた彼女の手が、僕の服の裾をそっと掴む。 「……ありがとう」 礼を言うのは僕の方だ。 人を好きになる事を教えてくれた彼女に、僕が礼を言いたいくらいだ。 僕がこんなにも、誰かを愛しく思うなんて。 彼女がいなければ、きっと知らずにいただろう。  
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