「君がくれた夏と花火」

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ーーーーーーーーーーー 坂田が帰ってしばらく経ったあと、俺の容態は急変した。心臓が激しく痛みナースコールを押した直後、気を失ってしまった。 目が覚めるとすぐ横に母さんがいた。 「…………かぁさん…?」 「悠太…っ?!良かった…!!気が付いたのね!すぐにお医者様呼ぶわね!」 泣きそうになりながら母さんはナースコールを押す。 しばらくして担当医がやって来た。 担当医の話を聞くと俺は倒れてから5日も目を覚まさなかったらしい。 そして容態の悪化を告げられた。4月にあと半年の寿命だと宣告されてから3ヶ月。 ………俺の体は半年も頑張ってくれないつもりらしい。 「もう………限界ですか…?」 「最善を尽くしますが…。」 自分の体のことは自分が一番わかるとよく聞いていたがなるほど、この事なのだろう。俺は自分がもう長くないことを悟ってしまった。 そんな時思い出したのが花火大会だった。 花火大会行けないってなったら坂田怒るだろうなぁ…。あいつはきっと子供みたいに怒る。 大丈夫じゃなかったのか!って…。 「あの…最期のお願いが………あるんですけど………。」 ーーーーーーーーーーーーーー 「お待たせ。」 「おせぇぞー 浦川!」 「ごめんって、坂田!許してくれよ?!」 「まぁいいけどさ…。 なぁ…一週間前行った時面会出来なかったんだけど大丈夫だったのか?」 「あー!あの日な、お前が来なくて暇でさー!食べることが趣味みたいになっちまって!ぶくぶくに太ったから家族以外面会できなくしてもらったんだよ!」 「はぁ?!そんなしょーもない…大体そんなことで面会出来なくしてもらえんのかよ…?!」 「まぁ俺、看護婦さん達にモテモテだからさ?!」 「…ったく!俺の心配返せよな!!」 「あはは!ごめんってば!」
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