「君がくれた夏と花火」

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「次のお見舞いの時にでも持っていくか!」 俺はそう言って、浦川によく似た小さな花を摘み取った。 帰ったら押し花にして、しおりにでもするかなー そんなことを考えながら、俺は鼻歌交じりに帰途についたのだった。 ーーーーーーーーーーーーーー そして一週間。 部活やテストに忙しく、平日は全く浦川のお見舞いに行けなかった。 浦川に某メッセージアプリでメッセージを送ってみたが返信は来ず、既読もつかなかった。 ……浦川大丈夫なのか…? こないだまであんなに元気だったけど… 一抹の不安を感じながらも一週間ぶりに会う親友の様子を楽しみに、浦川の入院する病院へ向かった。 ------------ 「え?面会出来ない??」 「はい。申し訳ございませんが、只今306号室の浦川さんは面会制限がございまして…ご家族以外お通しする事はできません。」 いつものようにナースステーションで浦川の面会許可を取ろうとしたのだが… 「あの…そんなに悪化してるんですか?」 「守秘義務がございますので…」 「そう…ですか…」 俺はどうすることも出来ず、病院を出た。 あの押し花のしおりを片手に。 何で会えないんだよ、浦川… 花火大会…もうすぐなのに………
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