寡黙なかれ

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あれから2日がたった。 あの傘のおかげで俺は風邪をひかずにすみ、普通に学校に通っている。 が、あの傘をまだ返せていなかった。 返そうと昨日傘を持ってきてはいたのだが、あることに気づいたのだ。 そう、傘を貸してくれたあの生徒の名前を俺は聞いていなかったのだ。 普段から寡黙とか言われている俺はあろうことか、その時もほとんど喋る事をしなかったというわけだ。 かなりの情報通の親友も、それでは分からないとさじを投げた。 さすがにまずいことをしたと自覚はしているのだが、そういったところで後の祭り。 手の打ちようもなかった。
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