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胸の痛みを消すために謝った。
本当に俺は最低ななやつだ。それは自我が生まれた時から知っていたことだ。
だが今日改めて本当に最悪なやつだと感じた。
人を傷つけることしかできない俺は一人で居たほうがいい。
だが彼女と居たい。一緒に天文部を行ないたい。
「それでもう一度聞くけど、なんでもいいんだね?」
その言葉を聞くだけで彼女は縮こまってしまった。
それはそのはず、さきほどこの言葉の次に出てきた言葉は、彼女を傷つけた言の葉の刃なのだから。
しかし首を縦に小さく振っているのが見えた。
「さっきの言った言葉を忘れて欲しい。ダメかな?」
もう本当に俺はクズだ。
だからほっとけと言ったのに近づくから誰かを傷つけてしまうんだ。
そんなのはいい訳だ。屁理屈にすらなっていない。ただの我侭。
「そ、それだけでいいんですか?」
良いに決まっている。
ここで他にもなんて言える訳がない。
今は『なんでもお願いを聞いてくれる』だけでもおこがましい。
「ああ、いいよ。それで忘れてくれるの?」
満面の笑みで彼女、倉橋華菜は、
「はい!」
と答えた。
俺にはもったいないほどの溢れんばかりの笑顔。
こうして彼女は初めての天文部部員になった。
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