部活という名の第二話

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彼女はしつこかった。 何がしつこいかというと、 「本当に天文部に入部していいんですか?」 とことあるごとに聞いてくるのだ。 そりゃ、あんな最低な冗談を言った後なのだから疑うのは分かるのだが、もうあれこれ十回以上は聞いてきている。 「いいよって何回言えばいいんだ? さっき入部届けも書いただろう?」 そう。俺たちはあの後、天文部がすることを話し合っていたのだ。 天文部の部室の鍵も渡したし、入部届けもちゃんと預かったのにこの落ち着きの無さは以上である。 いろいろ言葉を変えて返答したのだがどれもしっくりこないらしい。 何を返しても、 「だって嬉しくて仕方ないんです。もう夢みたいで」 としか倉橋さんは言わなかった。 だから俺は俺は倉橋さんのほっぺたを両腕で両方引っ張った。 一応言っとくが痛くない程度にだ。 「ひゃにほ、しゅるんでしゅかー」 「しつこいから口を封じたまでよ。それと敬語じゃなくていい。同じ学年なんだからな」 「わひゃりまししゃ。ひゃからはにゃひてくらはい。……うにゅん」 敬語は直ってないが分かったと言うから離してあげた。 抓まれていた頬を擦りながら倉橋さんは、 「そ、それでは私のほうもお願いがあります!」 「なに? 頬痛かった?」 「いえ、全然痛くはありませんでした。お願いはですね……」 倉橋さんは一呼吸おくと口を再び動かせた。 「私のことを苗字ではなく名前で呼んで欲しいんです! お願いします!」 「え? いいよ。それじゃ華菜ちゃんでいい? それとも華菜って呼び捨てのほうがいい?」 「え、えっとですねー……呼び捨てがいいです」 恥ずかしいのか顔が燃えていた。 「分かったよ。これからは華菜って呼ぶよ」 納得いったのか満足そうな顔で頷いている。 「それじゃもう少し予鈴鳴るから教室戻ろうか、華菜」 「は、はい!」 戻る途中に放課後に部室に来るように頼んだ。
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