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何回まで了承するかを考えながら部室に向かうために足を動かす。
答えが気になるのか、チラチラこちらを見てくる。
こちらが顔を向けるとすぐに外に視線を逸らす。
「な、なんですか?」
なんですかはこちらが言いたい。
まぁなんなのかは分かっているが。
「いや、なんでもある」
「あるんですか!? そこは無いって言わないと」
なぜ俺は説教を受けているんだ?
「そ、そうか。あーそれでな、休み時間の話しなんだが」
話し始めると真剣な顔でこくりこくりと頷いた。
「別に何回来てもいいや。逆に何回か来て、その風景を当たり前にしたほうがいい気がするよ」
「ほ、本当ですか! 男に二言はないですよ?」
「じゃあ俺、女でいいや」
「じゃあってなんですか~」
最初の頃のあの大人しかった華菜は何処へ。
「それと誰かに俺らの関係を聞かれたら恋人とでも言っておけ」
「こ、恋人!? ななな、何を言ってるんですか!?」
「な、なんだよ。いきなり大きな声出して。恋人って言っておけばほっておいてくれるよ」
「逆に興味持たれる気がします……」
「俺も華菜の反応を見てそう思ってきた。他にいい言い訳ないかな」
俺は顎に手を当てながら考える。
考えていたら部室に着いた。
俺は部室の鍵を開けようとした。
だがそれを華菜に止められた。
「ちょっと待ってください。今日は私に開けさせてください!」
「いいけど、なんで?」
「初めての部活ですから自分で扉を開けたいんです!」
微笑んだその笑顔は妙に活き活きしていた。
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