部活という名の第二話

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カチリと音が鳴り、部室の鍵が開いた。 俺は半歩後ろに下がり、華菜に一番最初に入るように言った。 するとそんなことが嬉しいらしく、喜々として扉を開き、部室に入っていった。 「部室に誰かがいるのは新鮮だな」 「水瀬先生は余り来ないんですか?」 「水瀬先生はたまにしか来ないよ。それも終わる間際とかにしかね」 「そうなんですか。それで今日は何をしましょうか?」 「そうだな……ババ抜きでもするか」 「誰がババを持っているか分かっちゃいますよね?」 「それじゃ、ダウトでも」 「それも誰がなんの数字持ってるか分かりますよね?」 「うーん、お茶でも飲みながら自己紹介でもしますか」 「そうですね。それが無難ですね」 「お茶を淹れるから座っててくれ。俺はお茶を淹れるのが好きなんだ、だから俺に任せてくれ」 絶対に手伝うとか言うと思ったから俺は先に釘をさしておく。 やっぱり手伝う気だったのか腰が少し浮いていた。 大人しく座ることを選んだらしく初めにここに来たみたいになっている。 俺は慣れた手つきでお茶を用意する。 「本当に好きなんですね」 「うん、好きだよ。なんで?」 「表情がいつもより柔らかい気がします」 「そうかい」 俺は淹れたお茶を華菜の前に出した。 「はいよ。淹れたてがおいしいが猫舌なら我慢せずにゆっくり飲むといいよ」 「な、なんで私が猫舌だって知っているんですか?」 「昼休みの時、最後にお茶を飲んでいたから。熱いのがダメなのかなって」 「はやーよく見ていますね」 「華菜が喋らなかったからすることがなくて観察してただけ」 それでも凄いらしくずっと「はやー」って言っている。 「はやー」ってなんだよ。
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