部活という名の第二話

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華菜の眉毛が八の字になっていた。 「どうしたんだ?」 「いえ、私たちに共通点がないなって」 共通点ねー。……あるじゃないか。 「あるぞ? 二つほど」 「え、なんですか?」 「同じクラスで同じ部活。それだけじゃ物足りない?」 「いえ、物足ります! 十分です!」 華菜は些細なことでも笑う子だな。 「郡山くんに聞きたいことがあります。いいですか?」 「スリーサイズ?」 「違いますよ」 「上から……」 「言わなくていいですから!」 そんなに聞きたくないのか俺のスリーサイズ。 なんかショックだな。 「そうか。それで何が聞きたいんだ?」 「なんで部員を増やさなかったですか?」 「え? 一人が好きだからだよ。それ以外に理由はない」 「それだけですか?」 「それだけだよ。それが大事だったんだよ」 じゃなきゃわざわざ学園一位のお願いで『ほっといてくれ』なんて言わない。 「そうですか……。それじゃ私は邪魔してしまいましたね、すみません」 「邪魔なんかじゃないさ。今年から部員募集をしようと思っていたから」 「そうなんですか? それは良かったです」 「おう、だから気にするな」 「はい、分かりました!」 正直に言うと今年に部員募集などする予定はなかった。 そう言わないと彼女が悲しい表情をすると思って吐いた嘘だ。 彼女といると俺はどんどんウソツキになっていくような気がする。 それでも俺は嘘を吐き続けるだろう。 それが今の俺にできる最善だ。
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