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辺りの電灯が一つ一つ明かりが灯り始める時間帯。 それと同じくらいに曲が終わりその子が顔を上げた。 「え……ぁ、あ、ありがとうごさいます!!」 帽子を少し上げ目を潤ませ嬉しそうにお辞儀をした。 「えっと」 「ぁ……曲で止まったわけじゃないんだ」 また、なんて言うように笑顔を落としたその娘は上着のポケットに手を入れる。 「ち、違う!違う」 「えっと、曲とか……全く聞いた事ないからどう言えば良いかなて」 その女の子は目を見開き俯いて顔を拭った。 「そか、そか」 「今の僕には物凄く優しい曲だったよ、ファンになったかも」 あの悲しさは、先よりも少し和らいでいた。 心の傷を忘れるような安らげる曲 また、聴きに来よう。 「ファンて…… じゃ君が私のファン第一号だね」 「うん、頑張れ、応援してる」 そんなぶっきらぼうに言った言葉を思い出して高校の春を迎えた。
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