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(桜が咲き始めてる)
枝につけた蕾が所々で膨らみ始めている。
“次は終点桜林、桜林です”
自動放送のスイッチを押すと丁度信号が青に変わった。
(満開になったらキレイなはず。その時が楽しみ)
愛は運転しながらも、もうすぐ満開になる桜とその中を走る自分が運転するバスのコラボレーションを想像していた。
桜並木を抜ける一歩手前で、愛は方向指示器を左に出す。
いよいよ桜林行きのバスのメインイベント、転車台(ターンテーブル)が待ち受ける。
桜林を終点とし、また桜林を始発とするバスのみに使われるそれは、春は桜吹雪が秋は落葉が見られる玖珂湊最大の観光スポット。
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